??????Ransomcrypt Trojan ???
Ransomcrypt の作成者は、良心のかけらもないことで知られています。これまでも常に、被害者は脅迫的な要求に支払いで応じ、ファイルを復号してもらうしか選択の余地がありませんでした。しかし、今回出現した Trojan.Ransomcrypt.G では様子が少し違うようです。Trojan.Ransomcrypt.G の作成者が詐欺師であることに違いはありませんが、何らかの行動原理に従っているらしく、身代金を支払わなくても 1 カ月が経過すれば、被害者のファイルを無償で復号すると申し出てきます。このような行動で作成者が無罪放免されるわけではないものの、残念ながらこの詐欺の被害に遭ったユーザーにとっては、一縷の望みと言えるでしょう。
図 1. Trojan.Ransomcrypt.G によって生成されるランサムウェアファイル「how to get data.txt」の一部
Trojan.Ransomcrypt.G の最初の例は、被害を受けたユーザーから、あるオンラインフォーラムに報告されました。侵入先のシステムでデータファイルを暗号化する、典型的な Ransomcrypt Trojan です。暗号化するファイルの拡張子は、Trojan.Ransomcrypt.G のバイナリファイルに格納されている長大なリストに照合してチェックされます。一般的な種類のデータファイルはほとんど影響を受けますが、完全なリストはこちらを参照してください。暗号化されたファイルには、.OMG! というファイル拡張子が追加されます。たとえば、hello.doc というファイルが Trojan.Ransomcrypt.G によって暗号化されると、hello.doc.OMG! という名前に変わります。
侵入を受けると、暗号化されたファイルと同じディレクトリに「how to get data.txt」というテキストファイルが生成されます。
図 2. 暗号化されたファイルを含むディレクトリ
このファイルを開くと、暗号化されたファイルとこのテキストファイルを添付して電子メールを攻撃者に送信するようにという指示が書かれています。攻撃者からは、復号された一部のファイルが添付されたメールが返信されてきます。そのメールに、すべてのデータファイルを復号できるロック解除ツールの入手方法が記載されています。
この「how to get data.txt」ファイルの末尾には、通常とは異なる文字列が含まれています。
図 3. ランサムウェアのファイルに含まれるバイナリ文字列
この文字列が実は、暗号化された暗号鍵と、感染のタイムスタンプ情報のバイナリダンプです。ロック用のこの鍵が、感染したシステムでファイルの暗号化と復号に使われます。鍵は、Windows 標準の暗号化機能を使って、感染したシステム上で動的に生成されます。その鍵を平文で送信するのではなく、Trojan.Ransomcrypt.G のバイナリデータの設定データに含まれる公開暗号鍵(RSA)を使って、ロック用の鍵を暗号化します。攻撃者は対応する秘密鍵を知っているので、それを使ってテキストファイルのバイナリ文字列の解読、ロック用鍵の回復、送られてきた暗号化ファイルの復号を行うことができます。また攻撃者は、暗号化された文字列から感染のタイムスタンプを取り出し、被害者が無償のロック解除ツールを使える期間になったかどうかも判定できます。
Ransomcrypt Trojan では、攻撃者が制御しているサーバーと被害者のシステムとの間のネットワーク通信によって、この種の鍵交換が自動化されているのが普通です。Trojan.Ransomcrypt.G はより単純なアプローチを使っているため、同じ処理を実行する際にユーザーとのやり取りが必要になるのです。
ファイルを復号するために、けっして身代金を支払ってはいけません。シマンテックの最新技術と、コンシューマ向けのノートン製品やエンタープライズ向けのソリューションをお使いいただくことで、こういったランサムウェアの攻撃から保護することができます。ファイルは常にバックアップするようにしてください。そうすれば、必要に応じてファイルを復元することが可能です。
シマンテック製品をお使いのお客様は、以下の検出定義によって今回のトロイの木馬から保護されています。
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