Backdoor.Darkmoon ??????????????? G20 ????
今週ロシアのサンクトペテルブルクで開催が予定されている G20 サミットを目前にして、攻撃者はサミットの知名度を標的型攻撃に利用しています。
シマンテックが検出したある攻撃では、金融機関、金融サービス企業、政府機関、経済開発関連の組織など複数のグループを標的としています。
図 1. G20 の代表から送信されたと騙る電子メール
この電子メールは、G20 代表に代わって送信されたと称しています。そのうえで、以下のような文面が続きます。
Many thanks for circulating these updated building blocks. Please find the UK comments on these attached. I look forward to seeing you in St Petersburg soon.
(更新版のビルディングブロックを回覧していただき、大変ありがとうございます。英国のコメントは添付ファイルでご覧ください。それでは、サンクトペテルブルクでお会いできることを楽しみにしています。)
ここで言われている「ビルディングブロック」とは、開発、汚職防止、雇用に対処する一連のビルディングブロックに対する英国政府のフィードバックを議論している複数の文書のテーマです。
図 2. 悪質な添付ファイル内のファイル
この電子メールに添付されているのは、RAR 形式のアーカイブファイルで、アーカイブファイルには 5 つのファイルが含まれています。そのうち 2 つは、ファイルタイプが偽装されており、実際には、文書ファイルの 1 つが実行可能ファイルであり、.msg ファイルが .lnk ファイルです。.lnk ファイルは、これまでにも攻撃に使われたことがあります(参照 1、参照 2)。被害者が .msg ファイルを実行しようとすると、悪質な実行可能ファイルと、悪質ではない文書の 1 つが実行されます。アーカイブファイルに含まれている 5 つのファイルとその MD5 ハッシュ値は、以下のとおりです。
ファイル名 |
MD5 ハッシュ値 |
UKcomments.msg.lnk |
7960F23DC79D75005C1C98D430FAC39B |
UK_Building_block_TRADE.docx |
53C60480254BCEB41660BD40AA12CECB |
UK_Building_block_ANTICORRUPTION.doc |
099A1C43677FD1286B380BCBF9BE90F4 |
UK – Building block_EMPLOYMENT – Aug.docx |
05BC1C528E6CD49C9B311C25039FC700 |
UK – Building block_DEVELOPMENT – Aug.docx |
C9F0DFAD687F5700325C4F8AEAEFC5F8 |
図 3. 被害者に送信される悪質ではない文書
被害者には、悪質でない文書の内容が表示されます。これらの文書で注目に値するのは、いずれも変更履歴が有効になっており、元の電子メールで言及されていた、英国からのコメントが記入されていることです。現時点で、これらの文書の正当性は確認できませんが、シマンテックの調べによると変更は今月の初めに行われており、最終更新者は「UK Government(英国政府)」という名前のユーザーでした。
図 4. 文書の作成者情報
バックグラウンドで実行される悪質な実行可能ファイルは、Poison Ivy として知られるものです。シマンテックは、この実行可能ファイルを Backdoor.Darkmoon として検出します。
Backdoor.Darkmoon は、悪名高いリモートアクセス型のトロイの木馬(RAT)のひとつで、過去数年間にさまざまな標的型攻撃に使われてきました。たとえば、シマンテックが 2011 年に報告した Nitro 攻撃でも使われています。
Backdoor.Darkmoon のこの亜種は、実行されると自身を winupdsvc.exe として %Windir% ディレクトリにコピーしたうえで、ポート番号 80、8080、443 で以下の URL に接続しようと試みます。
- [http://]www.verizon.itemdb.com
- [http://]www.verizon.dynssl.com
- [http://]www.verizon.proxydns.com
今回の攻撃では Darkmoon が利用されていますが、同じグループによる攻撃で別の脅威が使われた例も確認しています。先月には、Java リモートアクセスツール(jRAT)を使う例を確認しており、シマンテックは Backdoor.Jeetrat および Backdoor.Opsiness として検出します。また。この脅威は Frutas RAT としても知られています。
セキュリティレスポンスは、他のグループも標的型攻撃に G20 サミットを利用していることを確認しており、今回のサミットが攻撃者にとっては絶好の素材になっていることが裏付けられています。
* 日本語版セキュリティレスポンスブログの RSS フィードを購読するには、http://www.symantec.com/connect/ja/item-feeds/blog/2261/feed/all/ja にアクセスしてください。