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「そこにカネがあるからさ」という有名な台詞は、銀行強盗ウィリー・サットン(Willie Sutton)が「なぜ銀行を襲うのか」と問われて答えたものだと言われています。真偽のほどは別としても、この台詞は今でも有効です。
同じ状況が、金融機関を狙う今日のマルウェアにも当てはまります。お金の移動する場所がオンラインバンキングのアプリケーションに変わったので、攻撃者もそれに引き付けられています。オンラインバンキングのサービスを標的にするトロイの木馬が開発され続けているのは、驚くほどのことではありません。最近のブログでお伝えした例は Neverquest というトロイの木馬ですが、これは 2006 年に初めて確認されて以来使われ続けている Trojan.Snifula の後継種でした。
金融機関を狙う最も一般的なトロイの木馬による感染の件数は、2013 年の 1 月から 9 月までの間に 337% という増加を示しています。1 カ月あたり 50 万台近くのコンピュータが感染して詐欺行為を受けやすくなっているという計算になります。金融機関を狙うトロイの木馬の背景にある仕組みと、その運用の規模を詳しく理解するために、シマンテックはオンラインバンキングを狙うトロイの木馬 8 種類に属している 1,000 以上の設定ファイルを解析しました。これらの設定ファイルには、トロイの木馬が攻撃する URL と、そのとき利用する攻撃方法が定義されています。攻撃方法は、単なるユーザーのリダイレクトから、バックグラウンドでトランザクションを自動実行できる複雑な Web インジェクションまでさまざまです。解析した設定ファイルは、合計で 1,486 の金融機関を標的にしていました。このことからも、トロイの木馬が広く拡散しており、攻撃者にとって金銭的な儲けを生むのであればあらゆるものが標的になっていることが明白です。
最も頻繁に攻撃されているのは米国内の銀行で、調査したトロイの木馬の設定ファイルのうち 71.5% に出現していました。標的となった上位 15 の銀行はすべて、設定ファイルのうち 50% 以上で見つかっており、2 つに 1 つのトロイの木馬が上位の銀行の少なくとも 1 行を狙っていることになります。このように高い数値が表れているのは、トロイの木馬とともに売られている基本ツールキットの一部に、標的となる URL がサンプルとして存在するためかもしれません。あるいは、トロイの木馬が依然としてこうした企業に対して有効だからという理由も考えられます。金融機関の一部はいまだに強力な認証を採用していないからです。もちろん、大部分の金融機関はこうしたサイバー犯罪の推移を意識しています。また、このような攻撃を遮断する新しい保護対策も講じているのですが、残念なことに、新しいセキュリティ対策を始動するには時間も費用も掛かり、攻撃者は常に新しい攻撃の経路を生み出しています。結局のところ、ソーシャルエンジニアリング攻撃は依然として機能し続けることになります。巧妙な作り話に引っ掛かってしまう人というのは、後を絶たないからです。オンラインバンキングのサービスを狙う攻撃は、来年も続くものとシマンテックは予測しています。
金融機関を狙うトロイの木馬の状況について詳しく知りたい方のために、このトピックを扱ったホワイトペーパーの最新版を公開しました(英語)。
金融機関を狙う脅威の 2013 年における概況については、以下の解説画像も参考にしてください。