Android APK ???????????????????????????
先日のブログでお伝えしたように、Java で記述されているために複数のオペレーティングシステムで実行できるリモートアクセスツール(RAT)の活動が活発化しています。Android オペレーティングシステムが急速に普及している状況で、Android OS が最新の標的となり、RAT に対して無防備なのは当然です。アンダーグラウンドフォーラムでは、昨年の終わり頃から AndroRAT(Android.Dandro)として知られる無償の Android 版 RAT が公開されています。そして最近、AndroRAT を使って簡単に正規のアプリを再パッケージ化し、トロイの木馬を仕掛けることのできるツールが初めて登場しました。アンダーグラウンド経済がサイバー犯罪者の需要に応えようとすることを考えれば、これも当然の流れでしょう。
図 1. 世界最初のバインダを謳ってアンダーグラウンドで販売されている「バインダ」ツール
オープンソースの Android 版 RAT である AndroRAT が公開され、インターネット上で誰でも入手できるようになったのは、2012 年 11 月のことです。他の RAT と同様に AndroRAT でも、攻撃者はわかりやすいコントロールパネルを使って侵入先のデバイスを制御できます。たとえば、デバイス上で実行されている AndroRAT は、電話をかけたり監視したりするほか、SMS メッセージを送信する、デバイスの GPS 座標を取得する、カメラとマイクを有効化して利用する、デバイスに保存されたファイルにアクセスするといったことが可能です。
図 2. AndroRAT のコントロールパネル
RAT は、Android の標準アプリケーションフォーマットである APK の形で提供されます。AndroRAT APK バインダと組み合わせて使えば、専門知識の乏しい攻撃者でも AndroRAT を使って簡単に、正規の Android アプリに感染するプロセスを自動化し、トロイの木馬を仕掛けることができます。トロイの木馬を仕掛けられた正規のアプリがデバイスにインストールされると、ユーザーは何も知らずに、目的の正規アプリとともに AndroRAT もインストールすることになります。攻撃者は、ユーザーを欺いて Android セキュリティモデルの機能をすり抜けられるわけです。シマンテックは現在までに、人気のある 23 種類の正規アプリが AndroRAT によって実際にトロイの木馬を仕掛けられていることを確認しています。
これに続いて、シマンテックは有償版の Java RAT も確認しています。これが Adwind(Backdoor.Adwind)で、すでに複数のオペレーティングシステムに対応しているうえに、AndroRAT のオープンソースコードに基づいて Android モジュールを取り込みつつあるようです。有償版のこの RAT にも、リモートで RAT を管理制御できるグラフィカルユーザーインターフェースが装備されています。
図 3. Adwind のメインコントロールパネル
Adwind が Android で動作するところを解説したデモンストレーション用ビデオでも、感染したデバイス上に AndroRAT が存在していることが示され、Adwind の作成者が AndroRAT ツールをカスタマイズして Adwind に取り込んでいる可能性が示唆されています。AndroRAT のコードが、カスタマイズして新しい脅威やツールを簡単に作成できるというオープンソースの性質を備えている以上、こうした展開もなんら不思議なことではありません。
図 4. 感染したデバイス上に AndroRAT が存在することを示す Adwind のビデオからのスクリーンショット
シマンテックの現在の遠隔測定によると、米国とトルコが最も頻繁に Android.Dandro の標的になっています。感染数は全世界でも数百件どまりですが、遠隔測定では、最近になって感染数が増えていることも報告されています。AndroRAT 用のツールがますます流通し高機能になっていることを考えれば、増加傾向は今後も続くものとシマンテックは予測しています。
図 5. 感染の分布図
リモートアクセスツールの進化が Android プラットフォームに向かうことは、以前から予期されていました。AndroRAT は今のところ、それほど高機能ではなさそうですが、コードがオープンソースであり人気も高くなっている以上、さらに深刻な脅威に発展する恐れは十分にあります。
この脅威を Android.Dandro として検出する、ノートン モバイルセキュリティなどのセキュリティアプリをインストールすることをお勧めします。スマートフォンとタブレットの安全性に関する一般的なヒントについては、モバイルセキュリティの Web サイト(英語)を参照してください。
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